アンディー・パートリッジ氏には申し訳ないのですが、一番はじめに聴いた、そして一番はじめにビビっと来たXTCの曲というのは、コリン・モールディング氏によるこの作品なのです。最初の出会いは、今では名盤として名高い、"BBC Radio One Live In Concert"、1980年の12月にロンドンはハマースミスパレイで行なわれたライヴでの音源です。渋谷陽一氏のNHK-FMの番組「サウンドストリート」の年末ロック特集だったか、そういうのを兄貴が録音して残していた、そのカセットテープでした。
こちらがそのライヴ。一曲目が"Life Begins At the Hop"です。
XTC -BBC RADIO 1 Live in Concert - Hammersmith Palais, London, 22nd Dec 1980
スタジオ音源に触れられたのはその2、3年後。やっと自分で買った、上に挙げたシングルコンピレーション"Waxworks: Some Singles 1977 -1982"のLPでした。感動でした。ギターの響きに何だか60年代風のニュアンスを強く感じましたし、ついで彼らのヴィデオでモールディング氏のその当時のヘアスタイルやファッションを確認し、そのイメージを高めたものでした。でも、曲、アルバムごとに彼らが持つあまりの濃さ、情報量の多さにも驚きましたが(笑)。
彼らがサイケデリックのパロディーバンドThe Dukes Of Stratosphearをやり出してからは、この曲の60年代リヴァイバルっぽさ(当時だとニューウェイヴを背景としたいわゆるパワーポップ)を再確認したのですが、でも、決してそれだけではないんですよね。催眠的なギターリフの繰り返しは人力テクノ(?)、のちミニマルミュージックっぽくも思えて来ましたし、彼らがどの程度意図していたのかはわかりませんが、とにかく、平凡さ、凡庸さをことごとく避けようとしているのだ、というのはだんだんわかって来ましたね。今となっては、それだけ様々な要素を、ときに大胆に、ときに繊細に纏め上げ形にしていく、その想像力/想像力/統合力こそが、まさしく彼らなのだと思うに至りましたが。
メンタル・アズ・エニシング。彼らの名前は1986年のヒット"Live It Up"でのみご記憶の方もおられるかと思います。実を申せば私も長いことそうでした。1976年にシドニーで結成され、1979年にアルバム"Get Wet"でデビュー、豪州ニューウェイヴバンドのひとつとして出発し、以後10数枚のアルバムをリリースし今なお活動中の彼らは、実に息の長い、今ではオーストラリアの国民的バンドのひとつと言えるかと思います。欧米では音楽スタイルから英国のマッドネス、スクイーズ、XTC、それにニック・ロウとの比較がよくなされるようで、そこも個人的に大変興味深いところです。
上の曲は彼らの通算4枚目のアルバムとなる"Creatures Of Leisure"からの曲です。最初「ドボチョン一家」(古くて失礼)でも始まるのかと思いました(笑)。それから声でちょっとばかりマッドネスを連想し、"Live It Up"とは違う彼らの姿に興味が湧いて他も色々聴くようになりまして。
上に挙げた曲は、自分が書きたいような曲を他の人に書かれてしまっていた・・・という意味で、はじめて聴いたとき思わず全身に電気が走ったものでした(笑)。そういう経験がたまにあるのです。The Comsat Angelsの"High Tide"、Travisの"Why Does It Always Rain On Me?もそうでしたね。
6枚目のアルバム"Forever Breathes the Loney Word"(1986)より。フェルトとは、バーミンガム出身、ローレンスの独特な唱法と歌詞を中心に、前半はアルペジオ主体のギターサウンド、後半はオルガンが大きく導入されよりバンド的に完成されたアンサンブルのアートポップ・サウンドで80年代に活躍、チェリーレッド、クリエイションといったインディーレーベルに10枚のアルバムを残した人たち。
ふたつめは、そもそも当時私が好きなフェルトというのは、1985年のアルバム"Ignite the Seven Cannons"の世界でして、そこから初期(ギタリストのモーリス・ディーバンクがいた時期)に遡って行ったクチなんです。だから、クリエイションに移ってからの作品は殆ど馴染んでなかったんですよね。でも当時のオルガンプレイヤーは、このマーティン・ダフィー参加後のオルガンをフィーチャーした後期の路線から入った人だったので、だいぶイメージが違っていました。年も4つ違ってたし、フェルトの話をしててもイメージがズレてまして。で、2つ下の弟は両方好きという感じで。
1982年にリリースされたインディーレーベルYからのシングルです。シュリークバックとは、元XTCのキーボーディスト、バリー・アンドリュースがXTC脱退後、ソロ、ロバート・フリップらとのバンドLeague Of Gentlemenを経て、1981年に元Gang Of Fourのデイヴ・アレンらと結成したバンド。