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Felt - Rain Of Crystal Spires (1986)




 6枚目のアルバム"Forever Breathes the Loney Word"(1986)より。フェルトとは、バーミンガム出身、ローレンスの独特な唱法と歌詞を中心に、前半はアルペジオ主体のギターサウンド、後半はオルガンが大きく導入されよりバンド的に完成されたアンサンブルのアートポップ・サウンドで80年代に活躍、チェリーレッド、クリエイションといったインディーレーベルに10枚のアルバムを残した人たち。


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 それまでのモーリス・ディーバンクによる透明で儚いギターサウンド主体の世界から抜け出して、ギターとオルガンによる快活なサウンドで彼らの新しいトレードマークを作り上げたこのアルバムを聴いていて思い出したのは、本当に個人的な話になってしまいますが、自分のバンドThe Penelopesの91、92年の頃、1stアルバム録音以前の頃のことです。Feltの曲に"Penelope Tree"、"Evergreen Dazed"といったタイトルの曲があったので、デビューしたての頃、よく訊かれたんです、フェルト好きなんですよねって。もちろんそうでしたが、タイトルやバンド名が似たのは偶然でしたし、好きだともあまり強くは言わなかったんです。それには理由がありまして。


 まずひとつは、あの頃、フェルトを熱烈に好んでいたのはギタリストである私の弟と、それからオルガンプレイヤーだったから。もちろん私も好きでしたが、The Penelopesを始めたとき、80年代の英インディー的な音だけじゃなくて、2ndアルバムのような世界 - パワーポップやビートルズなどのメロディアスなポップロックの方向も追求したいなという欲求があったからです。それをしないと自分じゃないなという。だから、あんまりそのあたりの音楽だけにイメージを固定されたくないなぁと抵抗してたんですよね。


良い曲です。アンサンブルを真似たくなる自分がいます(笑)

Felt - September Lady




 ふたつめは、そもそも当時私が好きなフェルトというのは、1985年のアルバム"Ignite the Seven Cannons"の世界でして、そこから初期(ギタリストのモーリス・ディーバンクがいた時期)に遡って行ったクチなんです。だから、クリエイションに移ってからの作品は殆ど馴染んでなかったんですよね。でも当時のオルガンプレイヤーは、このマーティン・ダフィー参加後のオルガンをフィーチャーした後期の路線から入った人だったので、だいぶイメージが違っていました。年も4つ違ってたし、フェルトの話をしててもイメージがズレてまして。で、2つ下の弟は両方好きという感じで。



 それで、こういうオルガンなら、グレアム・パーカー&ルーモアのボブ・アンドリュースとか、エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズのスティーヴ・ニーヴを気に入るんじゃないか、ってなって、それで皆でそのあたりも聴いてみたりもしたんですよね。



 92年の"The Birth Of the True"に収録されることになる"Evergreen"を録音しようかとなっていた91年の終わりの頃というのはそうやって、お互いを探っていて、視点がズレたままで、でも歩み寄ろうとして、面白がってあれこれ試してた・・・そんな感じだったんです。



 で、92年春から夏の1stアルバムの録音時には既に弟はいませんでしたし、もう1人のギタリストも辞めていましたので、ギターがだいぶ引っ込む代わりに、曲によってはマーティン・ダフィー風オルガン(私はボブ・アンドリュース風と解釈していた/笑)がかなり前に出ることになったんですね。


 だからあのアルバムは本当にあの当時居たメンバーによる色んな偶然の巡り合わせだったんだなぁと。



 そんな訳なので、今改めてこの作品を聴くと、無意識下でかなり影響されてたんだなぁと思うんですよね、この頃の彼らに。唱法じゃなくて、オルガンとギターによるバンドアンサンブル、当時のビフ・バン・パウ!やジャスミン・ミンクスもそうでしたが、オルガンの入ったギターポップ、という意味で。恥ずかしいぐらい(笑)


・・・とまあ、そんな昔のことも、あれやこれやと懐かしく思い出させてくれた作品です。


Felt - Down But Not Yet Out

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by penelox2 | 2015-04-19 01:07 | F