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The Sinceros - Disappearing (1981)






 ここで取り上げる音楽の多くは、自分が思春期に出会った思い入れの強さゆえ、どうしても70年代末から80年代前半ぐらいのイギリスの所謂ニューウェイヴ系が中心になってしまいますが、何卒ご容赦下さい。



 リアルタイム、後追いも含め、もうずいぶんその時代の音楽は聴いたり、それについて書いたりしていて、特にここ数年は世界中の音楽ファンのYouTubeへの投稿のマニアックさのおかげで、リアルタイムで聴けなかった音楽でさえもずいぶん接することが出来るようになり、まさにYouTube様々ではあるのですが、それでも、殆ど存在を知らず、全く聴いたこともなく、そしてそれが実は大変好みのアーティストであった・・・ということも、まだまだあります。彼らがまさにそういう存在。


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 このThe Sinceros(ザ・シンセロス)のことは本当に数年前に知った状態で、何と素晴らしいバンドを見逃していたことか、恥ずかしいなと思うことしきりです。60'sオールディーズと、70'sAORと、そして当時のパワーポップ/ニューウェイヴ、それぞれの良いところが上手く溶け合ったソングライティングの巧みさも、小技が効いた演奏も、ソリッドな録音も、全部自分好みで、最初聴いたときは興奮したものです。


 ロンドン出身、パブサーキットで活動したR&BバンドThe Struttersを母体とする4人組(ベース、ドラムの二人はリーナ・ラヴィッチの1978年のアルバム"Stateless"にも参加しています)。上に挙げた曲はガス・ダッジョン制作による1981年の2nd(そして最終)アルバム"Pet Rock"より。アルバムには元The Recordsのヒュー・ゴウワーが1曲参加しています。


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 上に挙げた曲は、自分が書きたいような曲を他の人に書かれてしまっていた・・・という意味で、はじめて聴いたとき思わず全身に電気が走ったものでした(笑)。そういう経験がたまにあるのです。The Comsat Angelsの"High Tide"、Travisの"Why Does It Always Rain On Me?もそうでしたね。


アルバム"Pet Rock"より。どれも実にさりげなくセンスが良いと思うのですが如何。

The Sinceros - Barcelona



The Sinceros - Falling In And Out Of Love




 下の曲にもビビッと来ました(笑)。こんな素晴らしい曲でバンド最後のアルバムを閉じるなんて、切ないじゃないですか。曲の良さが一番大事なんだ・・・そんなスピリットが伝わってくる作品で終わりになるなんて。


The Sinceros - Midsong




 キーボーディストのドン・スノウはその後Squeezeにも参加、ベース/ボーカルのロン・フランソワはThe Teardrop Explodesの後期("Wilder"の頃)に参加、その後オーストラリアに移住、Euroglidersをはじめ様々なアーティストと活動、ドラマーのボビーアーウィンもニック・ロウやヴァン・モリソンとの活動を含めセッションプレイヤーとして活動して来たようです。しかし何より残念なのは、メインソングライター/ボーカル/ギターのマーク・ケルドセンだけがその後音楽業界を離れてしまい、既に故人だということ。



こちらの彼らを紹介するサイトでのドン・スノウの発言によれば、ケルドセンは解散時、「このバンドで成功できないんだったら、他の誰とやっても成功しそうにないよ」と語っていたといいます。


この良質で心ある音楽がもっと多くの方に届く事を願って止みませんね。
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by penelox2 | 2015-04-21 22:29 | S