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Rattlesnakes - Lloyd Cole & The Commotions (1984)


 ここ数年感慨を覚える、日本におけるある音楽のカテゴライジングの変容について、まずは書かせて頂きたい。すなわち、80's前半から半ばのある種のアーティストに見られたフォークロック、ソウル、ジャズ、カントリー、60'sポップなどを知的な姿勢で取り入れた音楽の動きの一部を「ネオアコースティック(ネオアコ)」と括っていた、その曖昧な括りが、深い理解をともなうにつれ、単なるムード的解釈から次第に拡散し「ポストパンク」(個人的には、パンクの理念を継承しつつある部分は批判し幅広い音楽性でもって乗り越えようとした、という風に捉えています)の一部として理解されるようになりつつある・・・これは、数年前にはあり得なかったことで、実に感慨深い。音楽というものはえてしてその大変短いスパンの時代の空気に偏った批評がなされがちで、あの括りも同時代を共有した者としては時代の気分に依拠し過ぎるがゆえ、そうしたい気持ちもわかる一方、無理解や誤解を多々生んだ側面にはとても複雑な思いをしたものです。もちろんそれで売りやすくなった事は否定はしませんが、あまりに消費主義に傾斜し、本質から遠ざかっていたのは無視出来ないことでした。

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 現代と切り離されていない過去の時代の点景のひとつとして、良質の音楽を、時代の気分に偏り過ぎることなくできるだけ普遍的視点と言葉で再評価する-そういう意味では、このグラスゴーから80'sに登場した「ネオアコースティック」バンドも、その全体像の検証はこれからなのでしょう。グラスゴー大学出身の ロイド・コール(ちなみに彼はスコットランド人ではないようですが)を中心に、ベルベット・アンダーグラウンド(ルー・リード)やレーナード・コーエン、デヴィッド・ボウイに強く影響を受けたとおほしきボーカルスタイル、これもルー・リードの影響が色濃い歌詞、サザンソウルやアメリカンロック色のある部分、風通しの良いオルガンとギターのアンサンブルを取り入れた音楽性-こう書くと、同郷出身のオレンジ・ジュースを連想させますが、実際彼等の影響は相当強いと思います。ただロイドが地元の人間ではないこと、音楽的に地元土着的な感じがないのが(まだグラスゴーが地方音楽シーンのメッカになる以前という)この時代ゆえ(あるいはこのバンドゆえ?)の面白さでもあり、その後彼等のフォロワー的バンドがグラスゴーから出なかった...このことも特筆すべきことでしょう。3枚のアルバムの後解散、ロイド・コールはNYに渡ります。そこで展開されるさらに円熟した(アメリカで異邦人的視点を保って表現活動をするのにもっとも敵した場所なのであろうNYを拠点とした)音楽世界からすれば、このバンド時代は若くフレッシュ。本人達からすればまだまだ未熟な、ある種学生的ロック同好会的おベンキョー的な?世界なのかも知れませんが、その出発点ゆえの煌めきが個人的には眩しく、永遠の瑞々しさを感じる訳です。スコットランドの「ネオアコースティック5大バンド」(残り4つはオレンジジュース、アズテックカメラ、ブルーベルズ、フレンズアゲイン-私の勝手な定義ですよ、もちろん)のひとつとして、「ポストパンク」期に咲いた古典的名作がこれ。

Perfect Skin

Rattlesnakes

Forest Fire
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by penelox2 | 2008-02-11 18:37 | C