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Everybody Is Fantastic - Microdisney (1984)


 1980年、アイルランドのコークでキャーサル・コフラン(Vo/Kb)とショーン・オハーガン(G)により結成されたマイクロディズニーは、コフランによる怒りや喜び、悲しみ、冷笑...様々な感情を短編小説風にちりばめたワードプレイによる、いかにもアイリッシュな文学的歌詞、スコット・ウォーカー風の(時に生々しく迫る)ソウルフルで存在感あふれるボーカルに、(のちHigh Llamasで全開になる彼のアメリカンミュージックからのフィードバックが色濃い)オハーガンのアメリカン・ロックの流れを汲むギタープレイがからみ合った、本当に個性的なポップロックをやっていました。

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 このデビューアルバムはそもそもチェリーレッドから出る予定だったようですが、再録音されて結局ラフトレードからのリリース。次のアルバム"The Clock Comes Down The Stairs"で大ブレイクすると、VIrginに移籍。88年に解散するまで2枚のアルバム"Crooked MIle"、"39 Minutes"を残します。これらの作品では「ネオ・アコースティック」派の次なる段階と言えた「スティーリー・ダン」シンドローム的なAOR路線を、よりソウルフルなスタイルで推し進めました。こちらもまた聴きものですが、このデビューアルバムの簡素で素朴な歌心あふれる音楽もかなり魅力的。このバンドも「ネオアコ」に一応括られており、野太くお洒落にならない朴訥なVoスタイルゆえに地味な評価ですが、そういう括りは一度外して聴いてみて下さい。最終曲はこのアルバムタイトルに逆らうような"Everybody Is Dead"。"I Love You"と叫びながら消えて行くこの曲で幕を下ろすことに、きっとある意図を感じる筈。もしそのことに引っ掛かったら、ぜひこんな世界にも思いを馳せてみて欲しい・・・たとえばソウルミュージックのなかにある悲しみ。たとえば60年代後半から70年代前半のアメリカン・フォークロックのやるせなさ。またたとえば、アイルランド文学に描かれる人々の生活。薄明かり(夕闇)のジャケット写真がそれらとつながる時、陽気で素朴なアイルランドだけではない、印象的な世界が目の前に開けて来ると思います。

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by penelox2 | 2008-02-11 21:11 | M