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Cloudcuckooland - The Lightning Seeds (1989)

 70's末から80's New Waveシーン、特にリヴァプールシーンにおいてはBig In Japanを振り出しに、Original Mirrors、Careのメンバーとしての活動、そして並行してEcho & The Bunnymenを始めとする同郷のアーティストたちのよき理解者/プロデューサーとしてその名を知られ、以降全英のポップロックに欠かせない人物となった感のあるイアン・ブロウディー(1958年生まれ)。その彼が三十路に入ろうかという80年代末にソロプロジェクトとして立ち上げたのがこのライトニング・シーズ。以後、プロデュースと並行して、ツアーメンバーやコラボレーションに常に興味深い人選を重ねつつアルバムを数枚リリース。96年にはコメディアンDavid Baddiel、Frank Skinnerと組んでのサッカー・ヨーロッパ選手権のイングランド代表の公式ソング"Three Lions"(これは名曲)が全英ナンバー1を記録したのはいまだに記憶に新しいところ。

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 他のアルバムももちろん評価すべきですが、私にとって最も鮮烈な印象が残っているといえばこのデビューアルバムであり、シングルとなった"Pure"("All I Want"を含め、大半の曲が実に素晴らしいのですが)。個人的には、88年在英時にBBCラジオのション・ピールの番組で初めて聴いた時の目が覚めたような爽やかな印象が今でも忘れられないのです。ネオアコースティック派(そのリヴァプール・メロディック支部、とでもしておきましょうか)の流れを汲む優しいメロディー、そして当時並行して(たとえばニュー・オーダーに代表される)ひとつの流れとなっていたエレクトロ/シンセポップの新鮮なアレンジをアコースティック感覚と見事なバランスで混ぜ合わせた、80'sポップのある側面のひとつの良質の模範解答、とでも言うべきポップ...。当時30過ぎのおっさんがこんな無垢なロマンチシズムに彩られた、こんなにも青春した音楽を出すというのは、ある種の勇気を与えてくれる行為でした。ナーディーな眼鏡ともども、90年代以降の英国良心派ポップミュージック、その中年部門の隠れた模範になったとさえ言えるかも知れない好盤。

Pure

All I Want

Three Lions
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by penelox2 | 2008-02-12 10:15 | L