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Greatest Hits - Bill Withers (1988)

 ジャズ、R&B、ソウルといった特にアフリカ系アメリカ人が多く関わる音楽を聴けば聴くほど、いかに音楽的質とチャート的成功というのが別物であり、そんな尺度を脇に置けば、アメリカで彼等が築き上げた彼等の功績がいかに不滅であるかを思い知る訳ですが、そんな中でも60's後半から70's前半というのは、黒人音楽においては特にそれまでの、単なる「白人層を意識した大衆芸能」的要素から一歩も二歩も踏み出したユニークな才能が一気に吹き出して来た大変な変革期であり、それがチャート的成功に結びつく可能性のあった希有な時代だったように思えます。一般的に黒人ぽい、とそれまでイメージされていたようなものとはまた違う音楽にも光が当った時期-それが「ニューソウル」の時代のまた別のある側面でもあったのでしょう。ここに紹介するビル・ウィザース(1938年生まれ)は30近くなろうかという67年にチャンスをつかんだむしろ遅咲きのシンガー/ソングライターで、その特徴は濃厚な黒人的要素(たとえばファンキーなノリの良さとか)よりも、白人層への迎合ではないとわかる程度の自然なスムースさ、穏やかな聴きやすさ、軽やかさ、そして適度にいなたい、ラフでもないが決して洗練されてるとは言えないもっちゃりしたVoスタイルにあります(個人的には、初めて聴いた時黒人シンガーとは思わなかった)。要するに、さほど「大衆芸能」としてのプロっぽさを感じないVoスタイルな訳です。で、そのいなたさ加減にうかがえる新しい時代感覚と、以降スタンダードとして聴かれ続ける普遍性のバランスこそが彼の音楽の親しみ、魅力に繋がっているのだと思います。

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 "Ain't No Sunshine"、"Lean On Me"、"Use Me"、どれもたぶん一度耳にしたら、あ、どっかで聴いたことあると思うであろう、「ラジオでのエアプレイ向き」と言う言葉を良い意味で使いたくなる耳馴染みの良さ(ゆえにヒップホップでも数多くサンプリングされている模様)が彼の音楽を貫いているのですが、特にお薦めしたい1978年の"Lovely Day"もまさにそうではないかと。スティーリー・ダンやマイケル・フランクスといった極上AORと私の中では同列、ということは80's後半の英国ネオアコ/New Wave流れのAOR(陳腐な言い方で失礼)とも同列なんです。昨今のアフロ・アメリカンがこういったニューソウル/ブラコンのはしりから何かを引っ張って来ようとしている事実は、黒人音楽の未来を占う意味で、とても興味深いものです。こちらが彼のオフィシャルサイト。

Lovely Day

Lean On Me

Ain't No Sunshine
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by penelox2 | 2008-02-12 11:15 | W