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Submarine Bells - The Chills (1990)


 チルズは、80年代のニュージーランド・シーンを知らしめたバンドとして世界的によく知られる存在です。彼等が所属したNZのレーベルFlying Nunからのバンドを除けば、90's以降に似たような音楽、影響を受けたバンドがかの地から多数輩出された訳ではなく、またそのポップセンスの素晴らしさもあって、個人的にその独特の個性がいまでも一際強く記憶に残っています。その特徴とは、ニュージーランド特有の湿気を感じない乾いた音像...というと奇妙に聞こえるかも知れませんが、アコースティックギターとオルガンがメインといってもいいようなシンプルなアレンジでドライな感触を作り出し、そこに、呑気なのか無気味なのかわからないひねりのある独特のメロディー、そして意味ありげな歌詞-実際その歌詞は非常に知的なもので(ちなみにリーダーMartin Phillipsの親はNZの大臣を勤めたこともあるとか)、高く評価もされているのですが-こんな要素が絡み合ったものです。たぶん影響のなかには60's音楽、特にサイケデリック/ガレージ系の音楽、そしておそらくニック・ドレイクやレーナード・コーエン、ルー・リードといった特異なシンガーソングライター、そしてストラングラーズやサイケデリック・ファーズのような低音Voをきかせた英国New Waveでしょう。それらの影響をもとに、フィリップス氏独特の感覚で纏めあげている訳です。

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 彼等の活動の唯一の難点はメンバーが常に流動的であったこと。そのため、80年に結成以来この事実上世界デビューとなった1stフルアルバムがリリースされるまで10年もの時間がかかってしまいました(それまでの作品はインディー/ガレージポップファンにぜひ聴いていただきたいものです)。しかしこのアルバムは見事その経験が生きていて、瑞々しく、それでいて成熟した作品が並ぶ好盤になっています。特に一曲めの"Heavenly Pop Hit"、これはまさに名曲と言っていいのでは。ジャケットのクラゲよろしく、プカプカと浮遊する気持ち良さ。このあとREMぽさもあるアルバム"Soft Bomb"(1992)、そしてメンバーがPhillipsひとりとなって、XTCのデイヴ・グレゴリー、それにおそらく同じくXTCの"Nonsuch"つながりでデイヴ・マタックスを迎えての"Sunburnt"(1996)をリリース、バンドのアルバムとしてはここで止まっていますが、ミニアルバム"Stand By"が2004年に発表された模様。詳しくはこちらを御覧下さい。

Heavenly Pop Hit

このアルバム以前の作品から。

Wet Blanket

Pink Frost
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by penelox2 | 2008-02-12 12:07 | C