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Simple Minds - Someone Somewhere In Summertime (1982)

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 スコットランド出身、今ではかの地を代表する世界的ロックバンドのひとつとなったシンプルマインズは、中心人物のジム・カー(Vo)とチャールズ・バーチル(G)によるパンクバンドJohnny & The Self Abusersを母体として78年に結成されました。


 翌年には早くもアリスタからデビューアルバム"Life In A Day"と"Real To Real Cacophony"と2枚ものアルバムをリリースしており、大いに将来を嘱望されたバンドだったと言えるでしょう。


 デヴィッド・ボウイの曲"Jean Genie"の一節より取られたバンド名を持つ彼等、最初の2枚はそこからイメージされる通りの、同時代で言えば特にマガジンに近い耽美的でダークNew Waveなサウンド(技術的にはマガジンほどのレベルには達しているとは思いませんが)を展開しており、たぶん後の彼等を知っていてこの時期をはじめて聴かれる方は驚くはず。


 80年のサードアルバム"Empires And Dance"ではさらにクラフトワークやノイ!といったジャーマン・エレクトロミュージックに傾倒し、時代の音を柔軟に吸収し常に変化して行くという彼等の特色が姿を表し始めたのかも知れません。


 ですから、ファンクの英国的解釈が流行り出した81年にリリースしたVirgin移籍後最初の作品となる4thアルバム"Sons And Fascination"でエレクトロファンク/New Waveディスコ色が強まるのも当然だったのかも知れませんね。


 ただし、それがいかにも流行を追いかけたという感じにならず、どこか地方都市出身バンドらしいあか抜け無さ(ニューロマ的にメイクをしていても、なお都会っぽさよりも人の良さが伝わって来る感じ)を残す彼等のキャラクターは、浮薄な流行に簡単に乗れない代わりに、彼等に敵を作らず、着実に支持を増やして行ったようにも思えます。



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 ここに挙げる82年の5thアルバム"New Gold Dream"は、そんな大器晩成型の彼等の当時のエレクトロ/ダンス路線が完成を見、かつ大衆の求めるものと上手く合ったという、作り手と聞き手のタイミングがピッタリ合った作品と言えるでしょう。



 今迄で一番の洗練度(特にシングル-"Someone Somewhere In Summertime"、"Promised You A Miracle"、"Glittering Prize"-がこれまで以上の充実ぶり)を見せた本作は全英3位を記録、批評も過去最高レベルの評価を受け、ここに来て遂に英国のトップバンドのひとつに登り詰めたのでした。



 普通ここまで成功して行ったバンド/音楽だと、私の天の邪鬼の血が騒ぎそうなものですが、このアルバムに関しては、底に流れるおおらかで温かみのある感性が、エレクトロポップなアレンジをよりスケールの大きなものにしていて、聴き手をのびやかな気持ちにさせてくれます。都会の喧噪、鬱屈や不安ではなくて、瑞々しい大地の息吹と明るい希望を感じるんです。


 やはりこのアルバムと次の"Sparkle In the Rain"こそが、時代に選ばれた数少ないアーティストの上昇気流に乗った瞬間の煌めきが収められているという意味で、彼らの代表作、名刺代わりの作品だと改めて思いますね。


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そのなかでも一番好きだったふたつを。まずはアルバムのトップを飾る名曲。

Simple Minds - Someone Somewhere In Summertime (1982)




明るい希望を感じる曲といえばこちらも。

Simple Minds - Glittering Prize (1982)



2008年2月15日 記
2015年4月13日 加筆修正
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by penelox2 | 2015-04-13 10:32 | S